_φ(・_・ もくじ
香ばしい香りづけとメイラード反応
では中と外に分解して解説していきます。
【中】の美味しい状態
これはまさに水分量をどれだけ保湿しているかですね。
「もっちり」という食感は水分なしでは表現できません。水分がいかに残っているか(残すか)はパン職人にとっての最大の楽しみです(きっと)。生地をこねてオーブンに入れるともちろん水分は失っていきます。そこをなんとかいい感じに残してもっちり感を出すのがパン職人のロマン。残すためにこねてグルテン出したり、保水効果のある糖分をどのくらい入れるかとか、シンプルな材料だからこそ細部までこだわりが必要なのです。あー、パン職人のパン愛!いいですよね!いいなー!パン愛!パン愛!
ということで、バゲットを切ってその断面を加熱するということは多くの水分消失が予測されるのでここでは避けるべき焼き方です。
- とにかく水分大事
- とにかくもっちりさせる
- (消失した水分を霧吹きなどで補う)
【外】の美味しい状態
もともとクリスピーに仕上がっている外側は、オーブン内で高温に晒されているので水分はあまりない状態です。そしてメイラード反応している状態ですね。
焼けて茶色に変色して風味化合物がたくさん生成されている状態です。
なんですが、それは焼き立てすぐの時の状態です。パン屋さんの焼き立てパンの香り!そのものです。香りは水分とともに空気中へ放出されていくので焼き立て時の香りは持続性がありません。暑い状態の焼き立てから時間が経つにつれて香り成分が少なくなっていくんですね。
そこで、おうちで焼き直しするときにもう一度メイラード反応させて香りを引き出すのです。
繰り返しになりますが外側の特徴をまとめます。
- パン屋さんで焼いているときに水分はある程度消失している
- 焼かれたときメイラード反応を起こして香り成分が作られている
- 冷めるにしたがって香りは減少する→ここでおうちに持ち帰り
- 消失した香りをもう一度焼くことで再発させる
- (消失した水分を霧吹きなどで補う)
小麦の生地がきつね色に焼けているのは本当に美味しそうですよね!
ちょこコラ:原料の香り:全粒粉
原料の香り:全粒粉
僕の好みですが、全粒粉を混ぜてあるバゲットが好きですね。
メイラード反応も起こしやすいので香りがなんてったって複雑になります。
製粉された白い生地のバゲットは、風味の少ない安価な原料を使うと
紙を食べているような乏しい風味のものが多く、こだわりのパン屋さんのバゲットはそれなりに香りがリッチになるように各店独自の工夫をされていると思います。
パンはシンプルな材料だけに技術介入が味の多くの部分を占めるロマンにあふれた食品だと!思います。パン職人さんはすごいなー。もぐもぐ。
そのとおりです。僕はパンが好きです。
美味しくなる焼き方解説
というわけで【中】と【外】の美味しいゴールに正ルートで目指すには、
それぞれの美味しい状態を達成させる焼き方をすれば良いのです。
切った断面を加熱せずに、外側をメイラード反応させる焼き方ですね。
- 1人前ずつに切ったバゲットはオーブントースターで立てた状態で焼く*上下からパンの外側だけに対して直接熱が当たるようにするため
- または大きくカットして立てた状態で焼いてからカットする
- メイラード反応して香りがたったら焼き上がりのサイン
- もともとのバゲットの持つ水分量次第では、焼く直前に霧吹きで加水する*水分の消失を抑えるため
今回はわざわざバゲットの美味しい焼き方を解説してみました。
なにげない「パンを焼く」という調理工程も分解して考えてみると他の料理に活かせるヒントがたくさんありますね。
一緒に料理上手を目指しましょう!ありがとうございました。