小さいですが非常に味が良いホタルイカ
春が感じられる海の幸ですね。
今回は後半にホタルイカを使ったパスタのレシピを解説しますがその前に
生のホタルイカの生食による食中毒について注意喚起させていただきます。
_φ(・_・ もくじ
ホタルイカの2種類の流通形態:ボイルと生
加工品以外のホタルイカは主に「ボイル」「生」の2種類の形態で流通しています。
ボイルホタルイカ|下処理について
一般的に売られているのは、水揚げ後にすぐに茹でられたものです。
スーパーでも旬の時期になると売られていますね。
「解凍」と表記があるものは去年以前のものなので注意してくださいね。
冷凍品はどのような方法で冷凍されたかで品質には雲泥の差があります。
最近はよく「冷凍技術が発達してきたから」と言われますが、発達した最新の技術はそれほど普及していません。なぜならまだまだ導入費が高価で、ほんの一部の企業しか使っていないのが現状です。
確かにプロトン冷凍やアルコールを使った急速冷凍機は高品質な冷凍食材を作ります。ですが多くの業者は以前の技術で行っていると考えてください。
なので「解凍」の表記があるものは無理に買う必要はありません。もう少し待てば今年のとれたてのものが入荷してきます。
話を戻しましょう。食べ方についてです。
ボイルホタルイカの下処理方法
- 目
- 口
- 軟骨
骨抜きがあると簡単に取れます
目はわかりますよね?
骨抜きでつまむと簡単に取れます。目の周りの黒い物体は食べても問題ありませんが、取るときに一緒に取ると見た目がきれいになります。
口の場所わかりますか?
足の付け根にあります。ボイルホタルイカは茹でられることで少し身が縮んでいますので、口が飛び出るような形になっており、これも骨抜きでつまむと簡単に取れます。
軟骨の場所はわかりますか?
詳しくいうと、「エンペラ側の身の内側」にあります。文字での説明はわかりにくいですね。
よくあるのが身の先端から「身ごとつまんで取る」という方法ですが、これは見た目が悪くなるのでおすすめしません。
本当の取り方は「足側からスカートに手を突っ込んで」取る方法です。
これだと身が傷つきませんので見た目にも問題ないので。
生で流通しているホタルイカ
スーパーではお目にかかることはないと思いますが、ちょっと高級なスーパーや百貨店だと売られていることがあります。
ところでホタルイカの主な産地は兵庫県香住と富山県滑川です。
生で流通しているのは富山県産ですね。1プレート21入りです。
兵庫県産はもともと小さいものしか取れず、漁の方法も大きな網で一気にゴッソリ取る方法なので
傷もつきやすく品質は落ちてしまいます。もちろん安価です。
対して富山県産は型が大きく内臓も太っており食味に長けています。
漁の方法もデリケートで良品の選別も可能なので、このように富山県産のみ生ホタルイカが流通しているのだと思います。
次項ではこの生ホタルイカの食べる時の注意点について解説していきます。
生ホタルイカの旋尾線虫
生で流通しているホタルイカですが、そのパッケージには必ず
「生食する時は内臓をとって食べて」
「茹でたてが美味しいホタルイカ 」などと書かれています。
もうお分かりだと思いますが、内臓には寄生虫が潜んでいる可能性があります。(2〜7%の確率で寄生しています)
ですが悲しいことにいまだに生のまま提供している飲食店が多く存在しますし、生ホタルイカをそのまま食べたい消費者もいます。
みんな無知なのです。
旋尾線虫(せんびせんちゅう)は加熱するか、冷凍すると死滅します。
1.生食を行う場合には、次の方法によること。
(a) −30 ℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する条件で凍結すること(同等の 殺虫能力例:−35 ℃(中心温度)で15時間以上、または−40 ℃で40 分以上)
(b) 内臓を除去すること、又は、製品にその旨表示を行うこと。
2. 生食用以外の場合は、加熱処理(沸騰水に投入後30秒保持、もしくは中心温度で60℃以上の加熱)を行うこと。
国立感染症研究所より引用
飲食店の責任者全員が寄生虫の知識を持っている訳ではないのです。独自に調べたりあなたのようにネットで検索しない限り、保健所などから講習会や知識提供はありません。
消費者は自己防衛してください。そして無知な飲食店には近づかないようにしてください。
話を戻します。
旋尾線虫という寄生虫はホタルイカなどの内臓におり、生きたまま食してしまうと
腸内から侵入してきます。その後、皮膚に移動してきます。
怖いでしょ?痛いですよ。本当に気をつけましょう。
提供者はこのことを知っても「愛する人に食べさせられますか?」よく考えてください。
食中毒の症状
喫食後、早ければ数時間で(例えば晩酌時に食べてその日の就寝時など)または2日以内に発症します。
激しい腹痛です。場合によっては高熱も伴います。
完治までは10日ほど。感染確率は2〜7%です。
アニサキスほど凶悪ではないですが、腸閉塞になって手術が必要な場合もあります。手術しない治療法もありますがどちらにしろ入院は必須になります。
何度も言いますが、生で食べるのは危険です。
ホタルイカの沖漬けはどうなの?
ホタルイカの沖漬けは商品として売られているものは安全です。
個人で作られたものは冷凍の工程を経ていないと危険ですね。
ではいよいよ安全かつ美味しさをクローズアップしたホタルイカのパスタ料理を紹介します。
ホタルイカのスパゲティ
さんざん寄生虫や食中毒の話の後で料理のことってなかなか気が乗りませんが(笑)
危険な食べ方を知って安全に美味しく調理することこそ調理師の使命ですので
この考え方は別に不思議でも気持ち悪い訳でもないんですよ。
という訳で粛々と進めていきますね。
完成形へのイメージ
料理を作る時は必ず完成形(ゴール)のイメージを明確に持つことが大切です。
今回の料理はホタルイカの美味しさを生かしてソースにしたスパゲティなので、まずはホタルイカの味の源を知るところから。
ホタルイカの美味しさ
身、足、内臓に分けて考えると、
身と足は同じ味わいですよね。今回注目すべき点は内臓の味です。
ホタルイカの味といえば内臓の濃厚な味わいと香りです。クリーミーさも感じられるなんとも言えないリッチな感じ。
内臓をソースに活かしましょう。
材料と作り方
- スパゲティ100g
- ホタルイカ10〜12本
- 季節の野菜
- トマトソース
- 白ワイン
- ニンニク
- バージンオイル
- 乾燥オレガノ
要はソースに内臓を溶かし出すのが重要なのです。
①ニンニクとオリーブオイルを火にかけ、ニンニクが色づいてきたら
②ホタルイカを入れトングでつついて内臓を出す。この時、身は崩れてしまっても構わない。
③オイルに内臓の香りがうつったら白ワインを入れ加熱を止め、煮詰める。
④オレガノを入れ、茹で湯でのばし少量のトマトソースを入れる。
⑤スパゲティが茹で上がったら、下茹でしておいた野菜と一緒に入れ和えて完成。
今回のレシピは生ホタルイカでもボイルでもどちらでもOK。あらかじめ目と口と軟骨は取り除いておきますよ。
また動画のリンクも貼っときますね。
という訳で今回はホタルイカについて解説しました。
食中毒の知識と美味しく調理する知識の両方を磨いていきましょう!
今回も最後までお読みいただいてありがとうございました!