ローストビーフや厚切りステーキはどうやって内部まで熱を入れているのでしょうか?難しそうですね。フライパンか?オーブンか?実は熱源はもう一つあるんです。それが「余熱」です。
こんにちは!なおです。
今回は「余熱」について解説していきますね。よろしくお願いします。
とりあえず、「余熱」とは?
「熱は順番に伝わっていきます」と何度も言っていますが、念のためここでもいいますね。
これは【揚げ物】の熱の伝わる順番図です。
今回の解説で関係があるところは4番目の「食材の水分や油分」のところです。
高温の油の熱が衣や素材の表面に伝わり、そこから中心部まで熱はじわじわゆっくりとバトンを渡していきます。もちろん途中で温度はだんだん下がっていきますので、火の入り方をコントロールするのは至難の技です。料理人は一体どうやって火入れしているのでしょうか?
お風呂でポカポカ❤️
突然ですが、お風呂ってあったまりますよね!
お湯の温度が、順番にそして徐々に体を温めて蓄熱するからポカポカが持続するんですね。人体は多くの水分を保有しており、これが蓄熱の対象になっています。もちろんお湯に入っている時間が短いと蓄熱量は少ないということになります。
お湯の温度はせいぜい42度くらいですので火は入りませんし、体から水分が絞り出されてタンパク質が硬化することはありません笑。ずっと入っていても42度以上になることはないので、逆に言えば42度にしたければずっと入っておくとそうなります。これを応用したのが温度設定できる加熱装置です(スチコンやサーキュレーター)サーキュレーターはまさに保温機能がついたお風呂と同じですね。
実は「加熱する」と「加熱やめる」は2人3脚
肉を焼くと聞くと
- フライパンで焼く
- オーブンで焼く
- 炭火で焼く
などいろんな熱源装置の熱を、ある時はそのまま、ある時は鍋などの器具や水や油などの液体を介して伝えていきます。
このまま連続して加熱を続けるとどうなるでしょうか?
フライパンは200度以上の高温になり、それに触れている部分の肉は「縮み」「硬化」が起こります。どうしても加熱されるとこうなるんですよね。もちろんこうなることによって生み出される食感や香りその他の効果もあります。一長一短なんですが長時間の加熱に関しては短所の方が大きいのです。
表面は硬化し、加熱済み状態になったとしても内部は生のまま。生焼け状態です。これをどうやって理想型に持っていくか。ここに余熱の登場です。
一旦加熱して蓄熱させておいて、次に蓄熱した余熱で肉自身を温めていく
というイメージですので、加熱と加熱しないのを繰り返しやっていくことが余熱での加熱になります。具体的にはフライパンやオーブンで加熱して、その後暖かい場所で休ませながら熱を入れるのを繰り返していくことになります。
この余熱調理の圧倒的利点ですが、それは内部に温度を伝えながら表面近辺は加熱しすぎないということです。切り口がロゼのステーキやローストビーフはこのように作られているのです。
ミシュラン3つ星店「カンテサンス」の岸田シェフが数年前に公開した肉の火入れ方法があります。それは豚ロースの料理なのですが、220度に設定したオーブンで豚肉を「温める」のと、オーブンから出して肉に蓋を被せて余熱で火入れするのを3分おきに1時間半やり続けるという手法でした。
岸田シェフは1つの料理に対して何種類ものね加熱器具を段階的に使うことが一時期明かされて有名ですが、このようにいわば原始的な方法も素材によっては選択されるということです。
参考<フライパンだけで加熱と余熱を繰り返す方法>⬇︎2ページ目を参照