ナスと油は好相性と言われますが、油っぽく仕上がってしまうと重たい料理になってしまいますよね。
この記事では上手にナスを加熱調理して美味しく仕上げるコツをお伝えします。
- ナスの焼き方がわからない
- ナスが油っぽく仕上がるのが嫌だ
- ナスは好きだけど油を多く摂取してしまうのが嫌だ
_φ(・_・ もくじ
基本的なナスの焼き方、加熱方法
ここではまずナスに適した加熱方法をみていきます。
その後、いかにその方法をうまく行うかを解説します。
油で揚げる
中華料理ではナスを油で揚げる調理が一般的に感じますよね?
もちろん中華料理はもともと油を多用する調理法なのですが、もう一つ中華で大切なのは「火力」です。
油は温度で性質が変化しますので、うまく温度コントロールして油っぽく仕上げないようにするのが中華料理の要点になります。
油の温度特性についてはこの記事を参照してください⬇︎
直火で焼く
焼きなすの調理は直火で皮面を焼きますね。これは油を必要としないのでカロリー面は問題ありません。
また、直火ではありませんが「グリルパン」を使って焼き目をつけるような焼き方も油は使いません。
グリルパンでの加熱調理はイタリア料理の前菜などで使われる「ナスのマリネ」のような料理に適しています。
イタリア料理はオリーブオイルを多く使う料理なので、「ナスのマリネ」のような前菜料理は加熱時に油を使わずに仕上げに調味料としてオリーブオイルを使うようにしています。
フライパンで焼く
これはご家庭で一番多く用いられる手法ではないでしょうか?
フライパンに油をひいてナスを並べる。。一般的なやり方です。
これだとナスの断面から油が侵入してきますね。
上手なナスの加熱方法
フライパンを使った加熱方法が一番やりやすいと思うので、油を極力吸わせないやり方を解説します。
ナスをカットして塩をふる
ナスをカットします。縦に4分割しましょう。丸いナスもこのようにします。
1つのポーションに切断面が2面ありますね?ここに塩を当てて断面に指などで馴染ませます。
この作業は「脱水」です。
塩の浸透圧により、ナス内部の水分が外に排出されるのです。
塩味はほとんどつきませんので、「下味をつける」というような作業ではありません。
あくまでも脱水させることを目的としています。
また、断面の表面と表面直下が脱水されればOKです。内部の水分までは脱水されませんし、内部の水分は食感に必要な水分なので無くなっては困るのです。
といっても変に気を使うことなく、なんとなく塩ふって馴染ませて5分ほど放置しておけばいいのです。簡単です。
皮面に塩を振っても入っていきにくいのでふる必要はありません。それに切断面しか加熱しないので皮面はこの際どうでも良いのです。
水分を拭き取る
必ず「しっかりと」脱水されて出てきた水分は拭き取ります。
しっかり拭いてください。
この後、強火で高温加熱調理していくので水がついていると火が上がったりしてとても危険です。
しっかりと拭き取ってください。
水分を拭き取ると断面が少し凹んで硬くなっているのがわかると思います。
これはまさに脱水された証。ギュッと詰まった状態ですね。
これで油の侵入は防ぐことができます。
熱したフライパンで焼く
前述しましたが、ナスは断面のみ加熱します。
まずフライパンに油をひき、煙が出るまで高温に温めます。
十分に高温になったら断面をフライパンに当たるようにしておきます。
『A面焼いて➡︎B面焼く』これを2回繰り返します。
なぜ1回ではないのかと言うと、深部まで温度を伝えるためです。
2回の焼きで、十分に焼き色がつくことが完了条件です。
完了したら
- 火を止める
- 油を捨てる、拭き取る
- A面に戻す
- フライパンに蓋をして数分放置
あとは余熱が仕事してくれますので放っておきましょう。
これでジューシーかつ香ばしく甘いナスの出来上がりです。
断面2回の加熱でこのくらいの焼き色がベストです。
断面が脱水されているので色は比較的早くつきますので、家庭のコンロでも問題ないと思います。
これは中まで焼けているのではなく、断面のツラ1枚だけが焼けていますので、
その直下から深部まではとろりとした食感に仕上がっています。
ポイント解説 油を吸わせないナスの焼き方
ここではさらに詳しく解説します。
ここまでで十分だと言う方は読み終えても結構です。
脱水で断面を変質させる
脱水によりナスの果肉の一部は劇的に水分が絞り出され、硬くなります。
これにより『壁』もしくは『衣』のような役割を担ってくれることになります。
これをしないと、グングン油は吸い込まれてしまうので、効果は一目瞭然です。
油を高温に保ち焼く
油の性質として、高温であればあるほど移動性が高まります。
常温では粘度がある状態ですが、高温になるにつれサラサラとしてきて動きやすくなります。
前述した「中華の手法で油を吸わせてから蒸す」方法がありましたが、これは高温で蒸すことで油の移動性を高め、ナスから重力により排出するという流れになっています。
今回紹介した方法も常に高温を保つことで内部に侵入した油を外に排出しているのです。
また、今回の焼き工程には秘密があります。
油には『低温から高温へ移動する』という性質もあり、これをも利用して油の侵入を最小限にしているという大事な焼き工程なのです。
品種による違い
今回使用したナスは『鳥飼茄子』という品種です。
この品種の特徴は
- 果肉に水分が豊富
- 皮が薄い
- アクが少ない
- 果肉が詰まっている
といったような非の打ち所がない優秀なナスです。
一般的な千両ナスにも色々な品種があり、また露地栽培とハウス栽培の違いや、収穫時期による差がありますので、
一概に定義することは難しいのですが、品種による個性の差は普遍ですので知っておいて損はない知識だと思います。
最良の調理法はなかなかポンっと思いつきませんが、いろいろな角度から食材を見ることで導き出せるようになってきます。
楽しんで料理しましょうね!