急速冷凍できる機械「ショックフリーザー」何でも冷凍して、しかも解凍時に劣化ナシなんて夢のようですよね。
これさえあればフードロスもなんのその!じゃんじゃん仕込んでもロスしませんからね。
しかしショックフリーザーは値段が高く、中古品もあまり安いものはありません。
ましてや今の中古市場は中〜大型機器がほとんどで、個人店で設置できるようなものはありません。
ショックフリーザーは興味あるけど、使っている知り合いがいなくて困っていませんか?
・ショックフリーザーの急速冷凍って本当に劣化しないの?
・どんなものが冷凍できるの?
・生の魚は解凍した後ちゃんと使える?
・実際に使っている人の意見が聞きたい!
- 高価な機器なので買ってから失敗したくない
- 自分のメニューに活かせるか知りたい
- 導入したいけど決断できない
私も過去はそうでした。
有名シェフの有料セミナーに行ったり、メーカーのテストキッチンに行ったりしても長時間使えるわけではないので実感が持てなかったんです。
でも今では価格以上の価値を得て、あの時に思い切って導入してよかったと思っています!
この記事は友人やお客様からよく聞かれることをQ&A形式で詳しく解説したものです。
もし導入を検討されているなら参考になれば嬉しいです。
たけのこや茹でたじゃがいも、茹でた大根などもそのままのクオリティで冷凍できます。
急速冷凍後に真空パックするのが時間短縮になります。
真空パックした食材の解凍方法は後述します。
マグロ、サーモンなどの元々柔らかい魚は解凍して使っても遜色ありません。
加熱調理するのなら全く問題ありません。
_φ(・_・ もくじ
ショックフリーザーで仕込みを効率化しよう
ショックフリーザーは急激に温度を下げて強制的に冷凍する機械です。
それに対して一般的な冷凍庫で行う「緩慢冷凍」との差は以下のようになります。
緩慢冷凍 | ショックフリーザー | |
---|---|---|
冷凍方式 | 低温の庫内に入れる | 冷気を強制的に循環させる |
最低温度 | 約ー20℃ | 約ー40℃ |
−5〜−10℃通過時間 | 30分以上 | 30分以内 |
ショックフリーザーの急速冷凍は細胞を壊しにくいのが最大の特徴です。
−5℃〜−10℃の温度帯を30分以内(実際はもっと速く)通り過ぎることで、水分が膨張する前に凍らせることができます。だからショックフリーザーは、水分と細胞を保持して解凍時の品質低下を防ぐのです。
急速冷凍できるものは?
今までは冷凍庫に一晩入れて冷凍していたと思いますが、ショックフリーザーを使うと食品の細胞を壊さずに冷凍できるので解凍した時の品質の劣化を最小限に止めることができます。
どんなものがショックフリーザーで冷凍できるかというと、今まで緩慢冷凍していたものは全てOKですし、それ以上にいろいろな食材を冷凍できるようになります。逆に冷凍できないものをあげる方が難しいくらいですね。
上の写真は下茹でした筍ですが、緩慢冷凍だと食材内に「ス」ができてしまうもの(加熱済みジャガイモや大根など)もストックできるようになります。
- 加熱済み根菜
- 生肉・生魚介類
- 加熱済み肉・魚介類
- ソースや出汁
- パン・ケーキ
今までは冷凍できないとされてきた食材も問題なく冷凍できるようになり、在庫管理や仕入れ・仕込みのスケジュールを立てやすくなります。
急速冷凍にかかる時間は?
急速冷凍にかかる時間は30〜90分でほとんどの一般的なサイズは冷凍できます。
- 塊200gほどにカットした生肉・・・90分
- 半割りにしたたけのこ・・・40分
- 一人前ずつラップした炊き立ての米飯・・・90分
- 90gに小分けした加熱済み豚ひき肉・・・30分
- 一口にカットした茹でたにんじん・・・20分
もちろん冷凍する食材の温度によって多少差は出てきますが、できるだけ温度が下がった状態から急速冷凍を始めることが大切です。
シュックフリーザーの「ブラストチラー機能」を使用して事前に冷却をしておくことで【ー5〜−10℃の温度帯を早く通り過ぎることができる】からです。
真空パック機は必要?
そのまま冷凍できるのものならパックせずに冷凍する方が早くできます。
- アルミのバットに
- オーブンシートをひき
- 間隔をあけて食材を並べる
写真の牛バラ肉の大きさなら20分もあればカチカチです。
これを大きな袋に入れてストッカーに保存して、使う分だけレンジ加熱すれば素早く提供できます。
一人前ずつのパックにする必要がない場合や、提供数が毎回変わるメニューにおすすめの保存方法です。
私はテイクアウトメニューで使っています。(ソースもバラ凍結させています)
レンジ加熱すればオーダーから数分で完成しますのでテイクアウトメニューの在庫にも最適ですし食材ロスを恐れる必要はもうありません。
真空パック機があればできること
上の写真のような煮込み料理はソースと一緒に一人前ずつ真空パックした後に急速冷凍しておけば自家製の冷凍食品の完成です。注文が入ったら湯煎でOK。
パスタボイラーをお持ちならポイっと放り込んでおけばメイン料理のタイミングで提供できます。
上の写真のもので冷凍➡︎60℃まで20分くらいですので、煮込み料理を注文時の負担なくメニューに入れられます。
付け合わせの野菜と一緒に冷凍することもできますし、それにプラスして季節の野菜を追加することもできますね。
*これは各々のやり方があると思います。最適化してください。
テイクアウトメニューにもそのまま流用できます。
真空パックした【生肉・生魚】の解凍方法
- 袋に穴を開けて
- 冷蔵庫で解凍する
- アルミ製のバットに乗せると早くなります。
真空パックすると、パック内部の気圧が下がった状態になります。
なので袋に穴を開けて気圧を元に戻してあげましょう。
そのまま解凍すると袋内の気圧の影響でデリケートな食材は変形したり、脱水の原因になりますので解凍時は注意が必要です。
せっかく高クオリティの冷凍ができるようになっても、解凍のタイミングでミスするともったいないですからね。
やることは簡単。袋の一部に穴を開けておくだけです。
【関連記事】低温調理器のこんな便利な使い方|解凍めちゃはや爆速解凍マシーン↗️
冷凍した生魚のクオリティは?
これは魚種と調理法によるとしか言いようがありません。
解凍してそのままお刺身のクオリティになるかというとそうではありません。カルパッチョなどの歯応えが必要ない料理の場合は問題なく使えます。
軟体系(タコイカなど)、えびや帆立は元々冷凍で流通していることもあり、急速冷凍すると今以上にクオリティは上がります。
水分の多い牡蠣や白子も生のまま冷凍できます。冷凍の際は前述の牛煮込みのように間隔をあけてバラ凍結することで在庫管理も楽になります。
比較的高価な魚介類でも急速冷凍でストックできるので、タイミングさえ合えば安く大量に仕入れて原価を抑えることに役立ちますね。
白身魚などの加熱調理前提の食材は全く問題なく使えますが今までの冷凍魚と比べると雲泥の差ですが、全く品質が変わらないかと言えばそうではありません。
急速冷凍していても解凍時に少量のドリップは出ますので、解凍するまえにあらかじめ対処しておくとドリップが魚に与える影響は少なく抑えられます。
良いタイミングで仕入れることで原価を抑えて経営を安定させましょう。
生肉や調理済み肉は冷凍できる?
こちらの写真は、加熱調理後に急速冷凍してストックしておいたものを解凍して仕上げ調理したものです。
断面をご覧になってもわかる通りジューシーさが保たれていますよね。
加熱後にしっかりと温度を下げておいてから急速冷凍することで、柔らかい火入れのお肉も品質を保ったままストックできるようになります。
生の肉を仕入れるとストリップロインだと約8kg、ランイチも約9kgです。
その大きさをすぐに売り切ることができるお店は問題ないのですが、個人店だとなかなかそういうわけにはいきませんよね。
小さなお店だと常に肉の状態に気を配り、在庫数も毎日確認して大変です。
小分けして急速冷凍することで劣化を防ぎ、在庫管理が容易になります。
- 牛肉ほぼ全部位
- 豚肉(ロース・肩ロース・トントロ)
- 鶏肉(ムネ・モモ・セセリ)
- 鴨(ムネ・モモ)
*元々水分の多い部位は解凍時に工夫が必要です。(鶏ムネ肉・牛ハラミなど)
急速冷凍に向かない食材は?
一般的な冷凍庫で冷凍していたのもは全て急速冷凍できますし、ジャガイモや大根など、今までできなかったものまで冷凍できるようになります。
なのでほとんどの食材が冷凍できるようになると思って間違い無いでしょう。
「これを冷凍した後の解凍品質が心配」
実際に試してみてお答えします!
ショックフリーザーで新メニューを!
要は急激に温度を下げてくれる機械なので【冷やす・凍らせる】作業がある調理に活用できます。
食品を冷凍するだけでなく、他の用途にも使える場合があるんですよね。
例えばアイスクリームなら『アイスクリーマー』が必要だったりしますが、ショックフリーザーの方が冷凍速度が断然早いので仕込みがすぐに終わります。
また、冷やし〜冷凍〜ストックの流れが常態化していくので、仕込み自体が180度変わります。
常にストックしていく仕込み頭脳になっていきます。これでロスはほぼなくなります!
冷凍中は外出してもOK!買い出しや銀行などに行っています。
時間も余裕ができて本当に導入して良かったと思っています!
ショックフリーザーでジェラート作り
おすすめはジェラートです!
季節のフルーツをたっぷり使うことで市販品にはない上質なジェラートが出来上がります。
フルーツの甘さと酸味が全てなので、足りない時は適宜グラニュー糖やレモンジュースなどを追加してください。
あまり過度な味付けをするよりは、フルーツ本来の香りや甘さを生かした方がお客さんに提供したときのインパクトは大きいと思います。
このレシピは乳製品が入らないのでアレルギー対応もできますから、お子様にも喜ばれますね!
材料
- 季節のフルーツ
- 水飴
- 安定剤(プロクレマなど)
作り方
- フルーツをミキサーで回しながら(最後までミキサーは回しっぱなし)
- 全体の10%の水飴を入れる
- 全体の10%のプロクレマを入れる
- 1分くらいしたら止める
- アルミ製のバットに移し
- 予冷したショックフリーザーに入れる
- 約10分おきにスケッパーなどで混ぜる
ショートパスタのストックをして種類豊富に
茹で時間が長いのがショートパスタの欠点ですが、私はあらかじめ茹でてバラ凍結してストックしています。
提供時間がめちゃめちゃ早くなります!
乾燥状態から茹でると15分かかるものでも、冷凍させてストックしておけば数秒で茹でたての状態に戻ります。
提供時間の早さはワンオペの強い味方になります。
【関連記事】【10分調理】ズッキーニでダイエットできるかも?かんたんパスタ料理
さすがにロングパスタは冷凍できませんが、パスタのオーダーが複数重なった時はかなりスピードアップになります。
ショートパスタに合うソースはラグー系が多いので、パスタソースも一人前ずつパックして冷凍しておけば自家製冷凍食品の完成です。そのままテイクアウト商品にもなりますよ。
ショックフリーザーの使い方【冷凍編】まとめ
たけのこや茹でたじゃがいも、茹でた大根などもそのままのクオリティで冷凍できます。
急速冷凍後に真空パックするのが時間短縮になります。
真空パックした食材の解凍方法は後述します。
マグロ、サーモンなどの元々柔らかい魚は解凍して使っても遜色ありません。
加熱調理するのなら全く問題ありません。
最後までお読みいただきありがとうございました!
今回は実際にどのような仕込みや料理に使っているかを、詳細に書き出しながら解説しました。
なかなか手が出ない高価な機械ですが、人を一人雇うよりかなり安いコストなので(しかもめちゃ働く)早期に導入して使いこなしてください。
設置場所さえ確保できるのなら即検討ですね。
ホシザキなどのメーカーテストキッチンに行って実際に使ってみるのもいいですが、デモをやってくれるのはシェフではなく栄養士なので、そもそも使い方が飲食店とは違います。
それを踏まえてデモに臨んでくださいね。
ショックフリーザーはワンオペの味方!
そしてメニューも広がるし、料理のクオリティも上がります。
わからないことがあればtwitterのDMから
お聞きくださいね。
また、【冷却編】の記事もありますので合わせてお読みください!
ではまた次の記事でお会いしましょう〜