今回は特殊な感じです。
料理において泡を用いた表現方法があります。みなさんもお店やインスタなどで目にしたことがありますよね!
泡の効果は?泡の原料は?
今回はその「泡」の正体と作り方を解説していきます。
_φ(・_・ もくじ
料理の上に泡が乗っている
こちらのリンクは大阪にあるミシュラン三つ星店「hajime」のホームページのトップ画面です。米田シェフの代名詞ともなった「地球」と名付けられた料理です。約100種類もの野菜を使用し、特注の皿で生命の循環を見事に表現した料理です。
この皿の両側に「泡」がありますよね?米田シェフは「貝の出汁」を泡にしているようです。
泡はどうやって作られる?
泡の作成には「レシチン」が主に使われます。
レシチンと検索すると健康食品がたくさん出てきますが、今回は内容と関係ないのでその辺はスルーしますが安価で使いやすいのは「大豆レシチン」です。
【Cook-Eatシリーズ】 粉末大豆レシチン液体に数%混ぜて泡立てるだけですので溶けやすい「粉末状」のものを使ってください。
「顆粒」は溶けるのに時間がかかるのであまりお勧めしません。
泡立てるのはハンドミキサーでやっているシェフもいますが、エアレーションポンプ(水槽に空気をぶくぶくするやつです)が一番手軽ですね。
できるだけ細かい気泡が出るものがいいでしょう。
僕は以前釣具店で金属製のものを買ってみましたが泡が荒くて使い物になりませんでした⬇︎
また、手で触ってボロボロ崩れるような素材(青いやつ)はやめておきましょうね。
セラミック製のものを今使っていますが、問題なく使用できています。
ポンプ本体はコード式から電池式のものもあるのでキッチンの環境に応じて選んでください。
泡を料理に用いる理由と効果は?
ではなぜ料理に泡を使うのでしょうか?
何にも考えずに「やってみたいから」という理由だけで使っている人もいるでしょうけど、
ちゃんとした理由があってこその表現方法ですからね。
でも泡そのものが「どのような効果があるのか」を
知っていると今後の料理表現も変わってきます。
泡が乗った皿を供するとき、ゲストからめちゃいい反応をもらいます。
「わーすごい」「写真撮ってもいいですか」など。嬉しいですね!
本当は泡は消えやすいのですぐに食べ始めて欲しいのですが、
みなさん必ずといっていいほど写真を撮ります。
なので【消えにくい】ものを作ることも重要になってきます。
見た目から想像力を掻き立てる
米田シェフの料理「地球」の貝の出汁の泡は「雲」「水蒸気」「雨」を表現しています。
生命の循環を表している料理なのですから命の源である「水」のいろいろな形態を泡で感じ取ってもらうという狙いでしょう。見た目にも驚かされますね。
また泡という形が本来、料理に使われないと考える人がほとんどですので強く印象付けることができます。
コース内での印象の緩急に使用する場合もありますね。表現は人それぞれです。
泡の効能
液体を泡にすると、液体が立体的な球形の連続した形になり、空気に触れる面積が多くなります。空気にふれ、液体は蒸発量が増えます。(といっても見た目ではわからないくらいちょっとですが)
ということで、泡の最も有効な効果としては「香りの増幅」があります。
僕は香りを特に引き立たせたいときに使います。泡にすると驚くほど香りが広がりますよ。
- 「泡=球型」これの細かいものの連続
- 空気に触れる部分が多いから蒸発量が増える
- 泡にした液体の香りを増幅させる
泡という形態
空気を含むので食感は文字通り軽い印象になります。
カンテサンスの岸田シェフは以前、豚のメイン料理に豚のジュを泡にしたソース代わりのものを皿に流していました。
また、和食店で醤油の泡が添えられた刺身を出すお店もあります。
ソース=液体という概念を打ち破った使い方ですね。
泡を作るときの注意点
泡の効果効能がわかったところで、早速作ってみましょう!
といってもいくつかの注意点があります。
これは実際に私が経験したことですので、皆さんの参考になればと思います。
また、泡がうまくできないときの対処法を別記事でまとめましたので
こちらも参考にしてみてください。
【参考記事】
液体の温度は?
まず、元となる液体は温度が大事です。
冷蔵庫から出したての低い温度では泡は立ちにくいですので、作る少し前に室温に戻しておくことが大切です。低い温度でいくらやっても荒くて弱い泡になります。これがわからずに最初は苦労しましたよ。。
そして少々温度が高くても泡立ってくれます。
少しでも温度が上がっていると香りもよく立つので泡の効果としては狙い通りになりますね。
ちなみに液体自体が「濃度のある液体」の場合は泡立ちにくいです。
レシチンの量は?
レシチン(大豆レシチン)はその名の通り大豆からできているものなので大豆の風味がします。
たくさん入れすぎると大豆味になってしまいます。泡がちゃんとできないな、などと言いながら追加していたら元の液体の味から変わっていくのでちゃんと温度管理して挑みましょう。
大豆味は結構主張してくるので厄介ですよ。
ガストロノミー界でよく使われる「SOSA」ブランドの商品の中に泡の持ちが良くなるっていうものがありますが、高いので使っていません。。これは匂いはしないと思います。
泡を立てよう
エアレーションポンプならコンセントを繋ぐか、電池式ならスイッチオンすれば泡は自動的に出来上がります。
泡立て器で人力でやる場合も、そんなに気合入れなくても簡単に泡はできますが、作った泡を泡立て器でやっちゃうと消えてしまうので注意が必要です。
ハンドミキサー派のあなたも同様に、できた泡をギューンってやらないように心がけましょうね。
ハンドミキサーではなかなかうまくいかない方が多いようです。
以前この記事を読んでいただいた方から質問をいただきまして、アドバイスを返信いたしましたので同じ内容をシェアいたします。
やはりエアレーションポンプとエアストーンの組み合わせが一番安定すると思います。
ポンプはどの製品でも基本的な構造は同じなので安価なものでいいと思いますが、エアストーンは製品によって形状がかなり異なるのでレシチンを使った泡を作る場合は注意が必要です。
細かい泡がたくさん出るものでないと意味がありませんし、
マテリアルは「青い石製」のものではなく、「セラミック製」のものでないといけません。
商品の一例のリンクを貼っておきますので参考になさってください。
これは実際に僕が使用しているものです。
泡:まとめ
泡の謎が解けましたか?
意外と簡単な泡の作り方ですが、泡の細かさや持続時間などはちょっとした工夫が必要です。
そもそも液体自体の性質が異なるので詳細な解説は省きますが、酸や濃度そして温度が泡の生成に密接に関係します。
機会があったらぜひトライしてくださいね。
今回もありがとうございました!