塩は料理にはなくてはならないとても大切な調味料です。
前回は「ミネラル」の話で終わってしまいましたが、今回はちゃんと料理人目線で語ろうと思います。
粒の大きさや、いつ塩味を感じるのか、塩をふるタイミングなどなど
こんにちは!なおです。
今回もそんな塩難民に捧げる会になりそうです。ではよろしくお願いします。
塩は製品によって様々な種類があることはご存知ですね。ミネラルなどについては下記記事を参照してください⬇︎
_φ(・_・ もくじ
粒の大きさと塩味の発生タイミング
ここではまず「塩の結晶(粒)の大きさ」について解説していきます。
その前に人の舌で塩味を感じるタイミングですが、いつかわかりますか?
塩は水分と結びつきやすく、水に溶けやすい性質があります。水と交わってから下の上に乗ると塩味を感じるのです。人の下には唾液という水分がありますので塩の粒を舌に置くとすぐに溶けて塩味が感じられるということです。
小さい粒は溶けやすく大きな粒は溶けにくいですので、大きさに比例して塩味のタイミングが少しですが変化します。
ところで塩を直接舌に乗せることってありますでしょうか?ほとんどの料理では塩は食材内に浸透した状態か、ソースやスープに溶け込んでいることが多いですね。そこから料理に適した塩の大きさというのがわかってきます。
素材に浸透している状態だと、口に入れて噛んだ瞬間から味が発生しますので、多くの料理では下味をつけるのです。
小さい粒の使い方
では粒の大きさによる適切な使用例を見ていきましょう。
前述の通り小さい粒は溶けやすく素材に塩が浸透するのに適しています。加熱前に肉や魚に振っておいてから調理に取り掛かる一般的なやり方ですね。
液体にも溶けやすいのでスープやソースの微調整にも役立ちます。
大きい粒の使い方
逆に大きな粒は浸透させずに、直接口に入るような使い方が向いています。
仕上がった肉料理の皿に少し添えるとか、揚げた後の天ぷらにつけるとかですね。粒が大きいとその塩の持つ個性も感じやすくなるのでそういった効果も狙えます。また、「〇〇の塩」「〇〇産の塩」などとメニューに書くことができてなんとなく美味しさの底上げに使えますね^^。塩の個性やバックグラウンドと料理との関係性がはっきりしていればより効果的だと言えます。
焼く前の下味に使用するならあまりお勧めしませんね。粒が大きいと量と塩分のコントロールが難しいので、下味には小さい粒の方がいいですね。
ちょこコラ:下味でもこだわるシェフ
下味でもこだわるお店
大阪にあるミシュラン三つ星のHajime restaurant の米田シェフは、フォアグラの下味に大きな粒の塩を用いています。
理由を推測するに
- 塩と食材との関連性
- 作業性(ピンセットでつまめる)
- Na以外のミネラル分の浸透
などが考えられます。塩の種類は何を使われているのか不明ですが独特な考えのもとで調理されているので絶対に理由があるはずです。
数年前の料理雑誌によると、お店では塩粒を数ミリ単位の等間隔にピンセットでおいて、規定の時間経ったら取り除くということをしています。憶測ですがもちろん、フォアグラ自体の温度や時間は細かく規定があると思います。
あえて溶けにくい塩を使うことで塩味をおさえ、等間隔に置くことで素材中の塩味を均一化している。
まさに三つ星にふさわしい調理工程ですね。
塩はいつふれば良い?
料理人の信念は人それぞれですから塩をふるタイミングも人によって全く違います。
ただ塩味がすれば良いのなら「食材」と「塩」を同時に口に入れすぐに咀嚼すれば良いのですが、人間は料理に関しては贅沢にも「味」を良くして食べたいという本能にも似た感情があります。どの方法が最適なのかここでは明らかにしませんが、自分なりに塩哲学みたいなものを感じられたら料理上達への一歩になると思います。
塩を振るタイミングは大まかに分けて
- 下味として調理前にふる
- 調理後にふる
ですが、それぞれに利点があると主張されているので詳しく見ていきましょう。
下味として使用する場合
読んでいる人のほとんどがこれなのではないでしょうか。ただ、「いつ」下味をつけるかで作用も変わってきます。「いつ」といっても過熱前には変わりないのですが、「直前」なのか「もっと前」なのかで浸透度も変わってきます。
一般的にマリネしたり塩をふったりすると「24時間で1cm内部に入る」と言われています。調理直前だと表面と表面直下に塩味が付きますね。一口で食べられる大きさなら口内に塩味と素材が広がるのですが(例えば一口大のからあげなら一口で完結します)、ステーキやローストビーフなどの塊肉ではそうはいきませんね。
ここで説明しないといけないのが「塩の浸透と脱水」です。
浸透圧により塩分が中に入るとその代わりに水分が外に出ます。脱水の効果があるんですね。この脱水を嫌う料理人は多くて、塩のタイミングにこだわる重要な理由の一つです。
なぜ脱水を嫌うかというと、肉や魚の「ジューシーさ」は水分も担っているのでできるだけ保っておきたいのです。究極は焼きながら塩をふるというシェフもいらっしゃいます。下の動画をどうぞ⬇︎
いやあもう訳がわからないですね。時間がある方はぜひ最初から見てください。変態が爆発してます。ヤバイです。
かと思えば反対に事前に塩をふるシェフもいらっしゃいます。cainoya塩澤シェフやルマンジュトゥ谷シェフです。彼らは1日前にふってたりします。内部まで塩が浸透することによって食感も変わりますし何より塩味が肉の味と一体化するので不自然さがなくなります。ですがその代償として脱水されるので塩澤シェフはトレハロースによる保水を行なっています。僕は実際に彼の講習会に行ったのでよく理解しています。
早めにふると脱水されやすいけど、味が一体化する。
直前にふると脱水しない代わりに塩が突出する。
一長一短なのですね。だからどちらがいいか断言できないのです。
調理後にふる場合
脱水を極度に嫌う人は塩せずに焼いて提供直前にふったりしますね。肉にかけずに皿においてソースの代わりだと言っている方もいらっしゃいます。
また塩の効果として「タンパク質の硬化」の作用があり、素材自体にストレスをかけずに扱いたいというシェフもいるのです。肉が知らない間に加熱されてたっていうような感じを目指すようです。
この手法は、肉と塩の2つの味が分離されたところが特徴です。これは長所とも短所とも取れますね。もうどっちがいいのか分からなくなってきましたか?
塩をふるタイミングまとめ
どのシェフもご自分の信念やテイストがあり、料理に自分という個性が乗っかってきます。
塩のふるタイミングひとつとってもこれだけ違う世界なんですね。
ここでまとめに入りたいのですが、、、なかなかまとめられませんね💦
- 下味として、または調理後に
- 素材の味と塩味をどのように考え、どのように表現するか
- まとまらない笑
- とりあえずわからなかったら下味でOK
多分、初のまとまらない回でした笑。ていうか誰得なマニアック内容。そんな料理マニアのためにも記事制作頑張ってます!
とにかく今日の記事を一言で表すと『ようこそ塩の迷宮へ〜』ですね!
今回もありがとうございました!